Author: PLANCHA

felbm “winterspring/summerfall” [ARTPL-241]

Artist: felbm
Title: winterspring/summerfall 

Cat#: ARTPL-241
Format: 2CD / Digital

※日本独自CD化
※解説: 高久大輝 (TURN)

Release Date: 2025.08.29
Price(CD): 2,800 yen + tax


2024年にmaya ongakuの招聘で初来日を果たし、今年はEACH STORYへの出演も決定したFelbmの最新アルバム『winterspring/summerfall』が日本独自CD化。
日本の二十四節気にインスパイアされた本作は有機的な楽器の融合とフィールドレコーディングを織り交ぜた洗練されたサウンドで、季節の移り変わりを表現した傑作。

おそらく彼にとって最も輝かしい作品と言えるであろう。オランダのマルチ・インストゥルメンタリスト、Eelco Topperによるソロ・プロジェクトFelbmの通算4作目のフル・アルバムにして日本デビュー作。冬春夏秋をテーマにした、タイムレスに響き渡る組曲を披露しているこの作品は、彼の直近のソロ2作『Elements of Nature』と『cycli infini』から自然な流れで発展したもので、自然と周期的なパターンに触れながら、日本の二十四節気というレンズを通してこれらのテーマを拡張している。

Felbmは、日本の茶道に関する本を読んでいる時に、古代中国と日本で用いられていた暦である二十四節気に触れた。二十四節気は、時間を四季に分けるのではなく、24の節点を用い、各節気を6つの期間で区切ることで、自然界で起こっていることを正確な瞬間に記録するものであり、こうした節目の詩情にFelbmは魅了された。 2022年11月から、彼は1年間、二十四節気を追うことを決意した。雲の形から気象パターン、動物の生態から植物の芽吹きまで、自然を観察し、日記に記録していくと同時に、それぞれの時期に経験した変化や考察からインスピレーションを得た音楽のアイデアを集めていった。これらの思索は一年を通してゆっくりと形を成し、本作『winterspring/summerfall』へと発展していくこととなった。

なめらかに移り変わる季節を表現した本作で私たちが耳にする音は季節とともに微妙に変化していく。冬の長い音は広大な感覚を引き出し、時間が無限の眠りの中で伸びていく。重々しい低音は影を落とし、澄み切ったパーカッションと、コマドリの卵のような空を舞う鳥たちとともに、清らかな瞬間が生まれる。

冬は、揺らめく光とともにその層を脱ぎ捨て、春の到来が風景全体に広がる。生命の羽ばたきが戻り、楽器が軽やかな旋律を奏で、感覚を呼び覚まし、新たな生命力で動き出す。これらの表現は、夏の訪れによってさらに深まる。爽やかで軽やかな暖かさは、この時期の豊かな植物の実りを捉え、爽やかな土の質感と音色のうねりは、太陽の熱気の蜃気楼の中できらめく。秋への移行は、静かな交わり、深く豊かな季節の根付いた土の質感と有機的な音の泉に抱かれているような感覚を呼び起こす。夏の滑らかな音は秋が訪れるにつれて、ざらざらとした音色を増し、にわか雨はこれから訪れる寒い季節の到来を招き入れる。

24の季節の節目を通じて私たちが耳にし、感じるものは、まさに地球の壮大さへの畏敬の念に他ならない。Felbmは自然の観察者であるだけでなく、あらゆる要素の奇跡的な本質に同調している。鳥のさえずり、草の葉、露の雫、鉛色の雲、それら一つ一つが、私たちが日々の生活の中で経験する絶え間ない変化の中で果たす役割を。『winterspring/summerfall』は大切にすべき贈り物であり、私たちを取り巻く世界における導き手、管理者、共謀者として、Felbmはアルバムを聴く際に最後の願いを託す:「最後に、Henriëtte Roland Holstの “自然の静寂は多くの音を知っている” という言葉を心に刻み、自然の沈黙に耳を傾けてください。」

TRACK LIST:

DISC 1:
01. winter i
02. winter ii
03. winter iii
04. winter iv
05. winter v
06. winter vi
07. spring i
08. spring ii
09. spring iii
10. spring iv
11. spring v
12. spring vi

Disc 2:
01. summer i
02. summer ii
03. summer iii
04. summer iv
05. summer v
06. summer vi
07. fall i
08. fall ii
09. fall iii
10. fall iv
11. fall v
12. fall vi

all music composed, performed, recorded & mixed by Eelco Topper
double bass by Nana Adjoa
ceramic percussion on ‘winter’ by Gemma Luz Bosch

created between November 2022 and December 2023
mastered by Alex Geurink
artwork & design by Joost Stokhof
photography by Felbm

vinyl realized and released together with Objects & Sounds, Ghent, Belgium

made possible with the financial support from Sena Performers Music Production Fund

 


Felbmの東京単独公演が決定 | 『EACH STORY EACH STORY present Urban Echoes』の第三夜として開催

本日(8/29)最新作『winterspring/summerfall』の日本限定CD盤がリリースとなるオランダのマルチ・インストゥルメンタリスト、Eelco Topperによるソロ・プロジェクトFelbm。EACH STORYへの出演が決定しておりましたが、東京での単独公演も決定致しました。EACH STORYが送る3夜の特別な東京公演『EACH STORY EACH STORY present Urban Echoes』の第三夜として開催されます。
また、第二夜のGia Margaretの来日にもPLANCHAは協力しております。

詳細は以下をご確認ください。

EACH STORY〜THE CAMP〜を主催する、EACH STORY実行委員会が送る 3夜の特別な東京公演『EACH STORY EACH STORY present Urban Echoes』

第一夜 ドイツ名門レーベルECMを代表するギタリスト”Jakob Bro”と、 日本が誇る打楽器の巨匠”高田みどり”が描く、 静寂と響きの夜

第二夜 シカゴ発シンガーソングライター”Gia Margaret”初来日公演。 重要文化財の自由学園明日館で静寂と心に響くスリープ・ロックの夜

第三夜 オランダ出身のマルチ奏者” Felbm”初の単独公演。季節の移ろいと自然のリズムを音で紡ぐ夜

 

Urban Echoes

一 都市にひそむ余自と共鳴ー


Resonating with the Hidden Spaces of the City

都市には、さわめきの奥に静けさが潜み、時間の際間に醤きが宿る。

Urban Echoes は、そうした見えない余白を音と空間で呼び覚まし、
会場ごとに異なる物語を立ち上げていく試みです。
能楽堂や歴史的建築、チャベルなど、息づく記憶をまとった場所で、
国内外のアーティストがその夜だけの音を奏でる
都市に眠る気能が共鳴し、音楽とともに新たな記憶となる
ー EACH STORYが届ける、特別な音のシリーズ。

 

DAY1
Jakob Bro × 高田みどり


日程:2025年10月6日(月)
会場:銕仙会能楽堂(表参道)
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売り ¥10,000 / 当日 ¥11,000

出演:Jakob Bro × 高田みどり

HP / チケット販売サイト:https://www.urbanechoes.live

主催:合同会社EACH STORY実行委員会
協力:rings
助成:東京芸術文化創造発信助成 カテゴリーⅠ 単年助成 芸術創造活動
後援:デンマーク王国大使館

 

DAY2
Gia Margaret


日程:2025年10月8日(水)
会場:自由学園明日館 講堂(池袋)
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売り ¥8,000 / 当日 ¥9,000

出演:Gia Margaret

HP / チケット販売サイト:https://www.urbanechoes.live
主催:合同会社EACH STORY実⾏委員会
協力:PLANCHA
助成:東京芸術文化創造発信助成 カテゴリーⅠ 単年助成 芸術創造活動

 

DAY3
Felbm


日程:2025年10月9日(木)
会場:ウェスレアン・ホーリネス教団 淀橋教会 小原記念チャペル
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売り ¥7,000 / 当日 ¥8,000

出演:Felbm / H.Takahashi (DJ) / Yudai Osawa (VJ)

HP / チケット販売サイト:https://www.urbanechoes.live
主催:合同会社EACH STORY実行委員会
助成:東京芸術文化創造発信助成 カテゴリーⅠ 単年助成 芸術創造活動
協賛:Adam Audio
協力:Kankyo Records
後援:オランダ王国大使館

 


Felbm(フェルブム):

自然界のリズムからインスピレーションを得たオランダのアーティスト、フェルブムは、アコースティックとエレクトロニックの音をシームレスに融合させた、魅惑的なインストゥルメンタル音楽を創作している。2018年にSoundway Recordsからリリースされた『Tape』シリーズでデビュー以来、その繊細でデリケートなテクスチャーとリズム、静けさと動きの絶妙なバランスが評価され、国際的な注目を集めてきた。

『Elements of Nature』(2021年)と『cycli infini』(2023年)のリリース以降、Felbmは自然とその絶え間ない変容を作品の主要なインスピレーションとして捉えるようになった。『Elements of Nature』は、彼が2週間滞在した修道院の風景と音によって形作られ、その環境のエッセンスを捉えており、長編作品『cycli infini』は反復という概念を深く掘り下げ、自然界と私たちの認識を特徴づける反復パターンを探求している。

最新アルバム『winterspring/summerfall』は、この探求を継続している。このアルバムは、有機的な楽器の融合とフィールドレコーディングを織り交ぜた洗練されたサウンドで、季節の移り変わりを表現している。1年間にわたって自然の観察を記録した日記を基に、80分間の時空を超えた組曲として完成したこの大作は、ダブルベース、ピアノ、フルートからなるトリオによるライヴ演奏で披露され、聴衆はこれらの四季折々の移ろいをリアルタイムで体感することができる。

https://www.felbm.com/


大注目のインディー・ポップ・デュオ、crushedがGhstly Internationalから9/26にリリースするデビュー・アルバム『no scope』から新たな先行シングル「oneshot」がミュージック・ビデオと共に公開

Photo Credit: Ben Rayner

Photo Credit: Ben Rayner

Temple Of AngelsのBre MorrellとWeekendのShaun Durkanによるインディー・ポップ・デュオ、crushedが名門Ghstly Internationalから9/26にリリースするデビュー・アルバム『no scope』から新たな先行シングル「oneshot」がミュージック・ビデオと共に公開されました。

Morrell はこの新曲について次のように語っています:

「有害な関係から抜け出せないことって、難易度の高いボス戦にずっと挑み続けてる感じに似てる。何度もやられるってわかってるのに、やめられない。苦痛の中にどこか楽しさがあるから。スナイパー・ウルフがソリッド・スネークに最後の嘆願をするみたいに、“oneshot” は死の淵に横たわって、『もう終わらせて』と願う歌です。」

しかし「oneshot」はそんな陰鬱な内容とは裏腹に、音的にはかなり美しくドリーミーなメロディが広がっています。アコースティック・ギターのストロークと、ドラムマシンによるシャッフルビートが対比されていて、魅力的な仕上がりです。

 

crushed new single “oneshot” out now

crushed – oneshot (Official Video)
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=mQADAzc6wco

 

crushed debut album “no scope” out on September 26


Artist: crushed
Title: no  scope
Label: PLANCHA / Ghostly International

Cat#: ARTPL-242
Format: CD
Release Date: September 26, 2025
Price(CD): 2,200yen + tax

※ボーナス・トラック6曲(『extra life』EP)
※解説・歌詞・対訳付き予定


トリップホップ〜ブリット・ポップからエレクトロニカ、USオルタナティヴのエッセンスまでを取り入れた懐かしくも新しい刺激的なドリーム・ポップ!
Ghostly Internationalがフックアップした注目のデュオ、crushedのデビュー・アルバム。
日本盤にはボーナス・トラックとしてEP『extra life』の6曲を丸ごと収録!

EP『extra life』が話題となり、Ghostly Intenationalがサインした、Temple of Angels(Run For Cover Records)のフロントマンでもあるブリ・モレル(Bre Morell)と、Slumberlandから作品をリリースしていたWeekendの元メンバーで、Topographies、Young Prisms等のプロデュースも手掛けて来たショーン・ダーカン(Shaun Durkan)によるドリーム・ポップ・デュオ、crushedの待望のファースト・フル・アルバムが完成。
テキサス出身で現在はロサンゼルスを拠点とするモレルと、オレゴン州ポートランド在住のダーカンは、特定の場所にとらわれず、別々の場所でレコーディングを行っている。彼らは、トリップホップ、ブリットポップ、エレクトロニカ、90年代のオルタナティヴ・ラジオの定番曲といった共通の嗜好、感情表現への渇望、そして正しく誠実に聴こえ、彼らにとって何か真の意味を持つ瞬間を見抜く直感に基づいて、自分たちが聴きたい曲を作り上げている。メロディアスで心温まるフックを、ブレイクビーツとサウンド・デザインの迷路を、かつてないほどの即時性と明瞭さで紡ぎ出す。

『no scope』は、二人の初のコラボレーション作品であるEP『extra life』に続く作品(日本盤にはこのEPの楽曲をボーナス・トラックとして収録)。『extra life』は元々2023年にリリースされていたが、大きな支持を集め、Pitchfork、NPRなどのメディアで早くからファンを獲得し、バンドはGhostly Internationalと契約を交わし、2024年には『extra life』にフィジカル・リリースされた。そしてcrushedは、2025年初頭にイギリスで初のライブを行い、アルバムの完成に向けて新曲やライヴ・アレンジメントを深めて行った。

ゆっくりと煮えたぎるブレイクアウトを通して書き上げられたこのアルバムには、バンドが再び焦点を定め、洗練させ、レベルアップし、『Extra Life』の約束を果たすべく突き進む姿が見受けられる。2人はリモート・ワークで曲作りを始め、その後はそれぞれの自宅と共同プロデューサー兼ミキサーのホルヘ・エルブレヒト(Japanese Breakfast、Hatchie、Weyes Blood、No Joyなどを手掛けている)の自宅で交互にセッションを行った。これは、完全セルフ・プロデュースを行って来た彼らにとって初めての試みだった。エルブレヒトは、メロディーと構成に対する卓越したセンスを持ち込み、数十曲ものデモを絞り込むのを手伝った。「ホルヘは私たちのアイデアをとても支持してくれました」とダーカンは語る。「彼がアルバムに参加してくれたことに本当に感謝しています。彼がいなかったら、これほど素晴らしいサウンドにはならなかったと思います。」

グループは、より深みのある、より忠実な、そして聴き手を惹きつけるようなサウンドを目指して一致団結した。「本当に極限まで突き詰めたかったんです」とダーカンは語る。「ポップな時はとことんポップに、ダークでヘヴィな時はよりダークでヘヴィに」。『Extra Life』がディストーションやファウンド・サウンドを用いて雰囲気を演出していたのに対し、本作ではギター、ベース、シンセのレイヤーを未使用デモからサンプリングし、コラージュのようなコンプレッションで世界観を構築。ミックスのインスピレーション源ともなったJ・ディラの『Donuts』を彷彿とさせる。もちろん、ビートはバックボーンであり、マッドチェスター・アシッド・ハウス、エイフェックス風のアンビエント・アブストラクト、ドラムンベース、そしてケミカル・ブラザーズ時代のビッグビート・エレクトロニカを行き来する、目もくらむようなサウンドを紡ぎ出している。

彼らの躍進は音響を超えて響き渡り、モレルは揺るぎない信念をもって空間を支配している。彼女の力強くダイナミックな歌声は、このバンドをドリームポップの同世代のバンドとは一線を画す存在にしている。ハリエット・ウィーラーやジェフ・バックリーの強烈なフックにも通じる、前面に出る力強い歌声で突き抜けていく。彼女の歌声はまさに理想的な相棒と言えるでしょう。ダーカンは柔らかな語り口でぼんやりとしたヴァースを複数の曲に提供し、バランスの取れた、より広い視点を与えています。二人はソングライティングを分担し、歌詞とメロディーが様々なやり取りの中で融合する、流動的な作品となっている。

アルバム全体を通してハイエナジーな弧を描くような楽曲(「meghan」「celadon」)、ミッドテンポのバラード(「heartcontainer」「licorice」「silene」)、そしてムーディーなパッセージ(様々なアウトロや「airgap」のインタールード)を巧みに織り交ぜ、自己陶酔しながら人間関係を巧みに築き上げていく過程での数々の成功と失敗を映し出す、手に汗握るテンポを生み出している。バンドが運命と人生を形作る選択に葛藤する中で、アルバム全体にほろ苦い雰囲気が漂っている。オープニング・トラック「exo」で、モレルは予感を現実に再現する。「良い終わり方じゃないような気がしてきた。それでも、どうしても諦められなかった」。シャッフルするブレイクビーツに乗せ、星が束の間一列に並ぶ空に向かって、彼女は歌う。「ただ甘くて/正気を失った/この状態が続くことを/せめて一晩だけでも」。

「Cwtch」は、ポップな華やかさと自己破壊の渦、そしてドラッギーなムードが交差する。「Starburn」は、チャグチャグと響くベースと揺らめくギターのラインで絶望の淵を描き出す。このアルバムの中心にあるのは「oneshot」。モレルはこれを「メタルギアソリッド」のボス戦で何度も敗北しながら書いた「毒のあるラブソング」と呼ぶ。 「ゆっくりと自分を殺していく誰かのために、寄り添い続けることを表現する、完璧な寓話だと思ったんです。」

デビュー作というよりは集大成と言えるこの作品は、爽快なまでに無防備で、洗練された感覚を与えてくれる。人生の十字線をリアルタイムで駆け巡る二人のアーティストによる現代作品だ。さらに日本盤にはEP『extra life』をボーナス・トラックとして追加収録した完全盤!


Track List:

01. exo
02. starburn
03. cwtch
04. heartcontainer
05. oneshot
06. airgap1
07. meghan
08. licorice
09. silene
10. weaponx
11. celadon
12. airgap2

Bonus Tracks (extra life)
13. waterlily
14. coil
15. milksugar
16. bedside
17. respawn
18. lorica

 

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PLANCHA (Oshi Kunii)(@plancha_92104)がシェアした投稿

crushed – starburn
https://youtu.be/o4RmyVrvYkY?feature=shared

 


現代アンビエント〜エクスペリメンタル・ミュージックのシーンの中核を担うM. Sageが9/26にRVNG Intl.からリリースするニュー・アルバム『Tender / Wading』から新たな先行シングル「Wading the Plain」が公開


アメリカのミュージシャンでありインターメディア・アーティストそして即興アンビエント・ジャズ・カルテットのFuubutsushi (風物詩)のメンバーでもあり、現代アンビエント〜エクスペリメンタル・ミュージックのシーンにおいて中核を担うMatthew Sage(M. Sage)が9/26にRVNG Intl.からリリースするニュー・アルバム『Tender / Wading』から新たな先行シングル「Wading the Plain(草原を歩く)」が公開。

アルバムでは独自のサウンドを展開しており、牧歌的なフォーク・コズミッシェ(Kosmische:クラウトロック由来の音楽スタイル)とも言えるもので、フロントレンジ(コロラドの山岳地帯)のための内省的なエレクトロ・アコースティック・バーン・ジャズ。淡い水たまりの青や、錆びたオイルドラムの赤に満ちた音世界です。このたび公開された「Wading the Plain」はアルバムのハイライトで、クラリネットとピアノの音が高い草むらを切り裂くように響きます。本人はこの曲を「ポスト・インターネット時代の住人のための、ある種の家庭的で牧歌的なアンセム」と語っています。

「Wading the Plain」には、M. Sage自身が監督したビデオも付随しています。このビデオについて彼はこう語ります。「『Wading the Plain』は、ある種の発掘作業なんです。あなたが招かれたその時点で、もうその中心にたどり着いている。スコップの代わりに使ったのは“光”でした。このビデオの中心には、オブジェクト指向存在論(object-oriented ontology)がある。物を集めて配置することで、そこに一種の“議会”のような関係性が生まれ、そのロジックは、時として人間の理解を超えたものになることもあるのです。」

 

M. Sage new single “Wading the Plain” out now

Artist: M. Sage
Title: Wading the Plain
Label: PLANCHA / RVNG Intl.

Format: Digital Single

M. Sage – Wading the Plain [Official Video] 
YouTube: https://youtu.be/ofgxZ4_fM30?feature=shared

 

M. Sage new album “Tender / Wading” out on September 26

Artist: M. Sage
Title: Tender / Wadings
Label: PLANCHA / RVNG Intl.

Cat#: ARTPL-239
Format: CD / Digital
CD Release Date: 2025.09.26
Price(CD): 2,200 yen + tax

※日本独自CD化
※ボーナス・トラック3曲収録

※解説付き予定


「僕はただ、草むしりをしながらヘッドフォンで聴きたい音楽を作っているだけなんだ」
即興アンビエント・ジャズ・カルテットのFuubutsushi (風物詩)のメンバーでもあり、現代アンビエント〜エクスペリメンタル・ミュージックのシーンにおいて中核を担うMatthew Sage(M. Sage)の2年ぶりのニュー・アルバムが完成!ピアノとクラリネットを軸に、ギター、モジュラー・シンセサイザー、パーカッション、そして自宅周辺で録音されたフィールド・レコーディングが彩りを添えるこのアルバムは、生命力、ラディカルな柔らかさ、そして故郷が変わってしまったとしても、故郷に帰ってきたような安心感を、壮大かつ静謐に描き出している。

2010年代初頭以来、SageはGeographic North、Orange Milk、Moon Glyphといったレーベルからのリリースを通して、様々なサウンドの方向性を網羅した独特な音楽カタログを構築し、そのたびに批評家からの注目を集め、熱心なリスナーを獲得してきた。2023年には、即興アンビエント・ジャズ・カルテットFuubutsushi(風物詩)での活動と時を同じくして、RVNG Intl.からのデビュー作となる『Paradise Crick』をリリースし、現在、新たなソロ活動と方向性を提示している。

『Tender / Wading』は、シカゴで約10年間過ごした後、コロラドに戻ってきたSageが、故郷から30マイル離れた場所で、彼の家族と共に数エーカーの荒れ地を耕作している姿を追った作品。前作の人工的な音世界とは対照的に、Sageは新たな成長を促し、家庭生活の構造に疑問を投げかけ、汚れと汗で曇った現在のレンズを通してかつての自分の足跡を理解するという行為から芸術を生み出している。

Sageは、自分自身の異なるヴァージョンを見る感覚を、哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの有名なウサギ・アヒル理論に例える。「同じ絵ですが、あなたが誰で、どこにいて、いついるかによって、ウサギに見える人、アヒルに見える人、あるいは両方に見える人もいます」とSageは説明する。ここには、被写体であり鑑賞者でもある彼が、馴染み深い風景に戻り、パートナーであり親として、雑草を刈り取り、外来種や害虫の蔓延、固まった粘土質の土壌に打ちのめされ、その優先順位が根本から変わってしまった様子が描かれている。それでも、もう一人の自分がそこにいる。狡猾な学者で、よくミームで考え、ポケットの中のスマートフォンの誘惑を感じる。 「このアルバムは、そうした認識の変化を察知し、跳ねたり鳴いたりする余地を与えることについてです。」

Sageのスタジオでインターメディアの実践を導くのは、内なる子供心である。スタジオは、2022年の大引っ越しの後、家全体をDIYで改装した際に改造されたポールバーン。スタジオでは、詩が絵になり、裏庭の彫刻になり、さらにその先へと進み、鳥のさえずりへのおどけた冒険やクラリネット習得の挑戦を楽しむことが、真剣な音楽へとつながっていく。「私が発見したのは、これらすべてを結びつける線があるということです」と彼は言う。「そしてこのアルバムには、頑固な楽観主義と希望が溢れていますが、同時に、私たちが今いるこの最終段階の瞬間に立ち会い、そのレトリックに対処しようとしていることも含まれています。」

『Tender / Wading』で、Sageは独特のサウンドを展開している。牧歌的なフォーク・コスミッシュ、フロントレンジの瞑想的なエレクトロ・アコースティック・バーン・ジャズ、そして淡い水たまりのブルースと錆びたオイル・ドラムの赤みが溢れるサウンドだ。ほとんどの曲は、1910年にシカゴで製造された、前の所有者が残していった、ネズミが住み着いた、不思議なハミルトンのアップライトピアノから生まれた。この楽器との偶然の出会いは、ウィンディシティとのつながりだけでなく、Fuubutsushi以降、Sageの作曲手法が進化してきたことを考えると、まさに宇宙的な響を帯びていた。彼は、キーボードを弾くことに慣れ、10代の頃愛用したドラムキットに、より心地よく向き合うようになり、木管楽器の空間にふさわしく、自然と意図的なものを受け入れ、音楽に最初からより構造的な重厚さと温かさを与えている。

本作のM. Sageは、研ぎ澄まされたメロディックなフレーズとコード進行の聴力で、過去のスタジオ実験と即興演奏を融合させ、いつものように膨大なデモ音源を9曲に絞り込んだ。静電気の中を泳ぐ森のヒキガエル、ざわめく草、溝に落ちる雨、月明かりの下でワルツを踊る星座など、彼の世界観構築の特徴は健在だ。『Paradice Crick』の世界が魔法リアリズムとデジタル・ファンタジーから生まれたのに対し、『Tender / Wading』は人間の経験からより直接的に切り取られている。

彼は、この作品が高度にコンセプチュアルな作品だという見方を即座に否定する。「僕はただ、草むしりをしながらヘッドフォンで聴きたい音楽を作っているだけなんだ」。ウサギとアヒルが主張するように、それは深くパーソナルでありながら抽象的でもある。21世紀の実験アーティストによる、魅力的で自然な方向転換と言えるだろう。彼の遺産はリアルタイムで形作られ、成長し続けている。


TRACK LIST:

01. The Garden Spot
02. Witch Grass
03. Chinook
04. Wading the Plain
05. Open Space Properties
06. Telegraph Weed Waltz
07. Fracking Starlite
08. Field House Deer (Mice)
09. Tender of Land
10. Tender of Land (Patrick’s Version) (Bonus Track)
11. Watering Twig (Bonus Track)
12. Two Sleets (Bonus Track)

 

M. Sage:

Matthew Sage は、ミュージシャン、インターメディア アーティスト、レコーディング エンジニアおよびプロデューサー、出版社、教師、パートナー、および親です。 2010年代初頭から、コロラドとシカゴの間で、彼は遊び心のあるニュアンスのあるベロシティと完成主義的な感性を備えたプロジェクトをレンダリングし、多角的な実験的なスタジオ・ミュージックの特異なカタログ輩出してきた。

コロラド州で生まれ育ったSageは、ドラムやギターなど、手に入る楽器は何でも演奏して育ち、中学から高校にかけてバンドに参加した後、インターネット上のDIY音楽文化に出会った。大学在学中にテープ・レーベルPatient Soundsを設立し、100を超えるアーティストの音楽をリリースするとともに、M.Sageとして、またFree Dust, Professional Flowers、Starling Murmurations、RxRy、Wellington Downsの名義で作品をリリースしてきた。2014年、Sageはシカゴに移り、シカゴ芸術学院の大学院に進学し、ライティングとインターメディア・アートを学ぶ。自宅のスタジオでの練習から、Sageは合成の世界にのめり込み、多くの一般的な手法やスタイルに手を出し、しばしばフィールド・レコーディングやシンセサイザーやエレクトロニクスで製作したサウンド・デザイン要素を取り入れた。Patient Sounds、Geographic North、Florabelle Records、Noumenal Loom、Orange Milk、Moon Glyph、Past Inside The Presentなどの著名な実験的レーベルから、着実に自信のプロジェクトを発表し、The WireやNPRなどのでも注目されるようになる。

2019年のレーベル10周年にPatient Soundsを閉じ、その1年後に共同音楽プロジェクト、印刷物、その他の放送・出版実験のためのインプリント、cached.mediaを立ち上げた。パフォーマーとしてのSageは、図書館や美術館、その他の型破りな空間を好み、カリフォルニア州パサディナの日本茶庭園で畠山地平のためにオープニングを行ったのは最近のハイライトである。また、The MoMa、The Whitney、シカゴ美術館などメジャーなアート施設のためにサウンドデザイン、インスタレーション、オリジナル楽曲を制作している。
Sageと彼の家族は現在、コロラド州の田舎に住んでいる。そこから、5年前に最初に想像されたデジタル森林風景の目的地であるであり、彼の世界を構築するエレクトロ・アコースティック・クラフトの集大成の『Paradise Crick』が2023年に名門RVNG Intl.よりリリース。そしてこのたびRVNG Intl.から2作目となるアルバム『Tender / Wadings』が完成した。

また、2020年には遠方の友人達と即興アンビエント・ジャズ・カルテットのFuubutsushi (風物詩)を結成し、そのメンバーとしても活動し、コンスタントに作品を発表している。


TOPS “Bury the Key” [ARTPL-240]


Artist: Tops
Title: Bury the Key

Cat#: ARTPL-240
Format: CD

※正方形紙ジャケット仕様
※解説・歌詞対訳:清水祐也 (Monchicon!)

Release Date: 2025.08.22
Price(CD): 2,200yen + tax


今年のコーチェラでのパフォーマンスも話題となった、モントリオールのDIYシーンから現れ、現代にも影響を与え続けるインディー・ポップ・サウンドの先駆者として活躍したTOPSがなんとGhostly Intenrnationalと契約してニュー・アルバムを完成!邪悪なディスコの領域へと足を踏み入れ、彼らのソフト・フォーカスなソフィスティ・ポップに鋭いエッジを与えた傑作!

現在はDavid Carriere、Jane Penny、Marta Cikojevic、Riley Fleckによる4人編成で活動しているモントリオール出身のソフト・ポップ/ロック・バンド、TOPS。時代を超越した音楽を生み出し、即時性と深みを巧みに融合させるスタイルをみせている彼らがGhostly Internationalと契約しリリースされるニュー・フル・アルバムにして通算5作目『Bury the Key』。常に洗練され、紛れもなくメロディック・クラフトの達人でありながら、進化を恐れず、時にはよりダークなトーンに挑戦し続ける彼らのこのアルバムは、かつて封印した感情と向き合い、幸福、快楽主義、そして自己破壊の間で揺れ動く様を描いていまる。架空の人物が登場することが多い一方で、輝きとグルーヴ感に溢れたセルフ・プロデュースによる楽曲は、親密さ(バンド内外)、有害な行動、薬物使用、そして終末的な恐怖といった個人的な観察から生まれています。レコーディングが始まると、彼らは変化に気づき、より積極的になり、冗談めかして「邪悪なTOPS」と名付けたとJaneは言う。「私たちはいつも、カナダ風に言えば、甘ったるいとか、ナイーヴとか、フレンドリーとか思われているけど、今回は周りの世界を真に表現するという挑戦をしたんだ」。迫り来る時代と、歳月を経て得た明晰さというレンズを通して、TOPSは『Bury the Key』でより邪悪なディスコの領域へと足を踏み入れ、彼らのソフト・フォーカスなソフィスティ・ポップに鋭いエッジを与えている。

2010年代初頭、モントリオールのDIYシーンから現れ、現代にも影響を与え続けるインディー・ポップ・サウンドの先駆者として活躍したTOPS。長いキャリアを維持している秘訣はシンプル。誠実でオープンなソングライティングと、自然体でありながらもピュアなレコーディング。そうすることで、バンドのあらゆるレベルで深く調和したダイナミクスが生まれる。彼らの楽曲は人生の輪郭を描き出し、時が経つにつれ――5枚のアルバム、数え切れないほどのツアー、そして様々なサイドプロジェクトを経て――TOPSはますますその才能を開花させている。

TOPSのヴォーカルは、ソングライター、プロデューサー、フルート奏者、そしてシンガーとして活躍するJane Penny。静かな歌声は、驚くほど幅広い表現力を秘めており、Men I TrustからClairoまで、現代の偉大なアーティストたちの多くに影響を与えてきたことは間違いない。彼女の歌詞のテーマは、権力のダイナミクス、欲望、注目されることへの葛藤、報われる愛など、時代を超えて色褪せることがない。2024年に初のソロ・リリースを控えていた彼女は、以前住んでいたモントリオールの地域に一歩賢くなって戻ってくる。盟友David Carriereと共作した彼女のソロ楽曲に登場する、洗練された車やどこまでも続くハイウェイは、TOPS名義での新作である本作に確かな深みを増して反映。作詞家、プロデューサー、そしてギタリストとして、鮮烈なフックとそれに見合う飽くなき推進力を持つ(彼の別のプロジェクトはDVC RefreshmentsやBorn At Midniteなどがある)Davidは、音色とテクスチャーの技巧に新たな息吹を吹き込んでいる。バンド結成当初からドラマーを務め、他者のプロジェクト(最近ではジェシカ・プラットのライヴ・バンド)でも活躍する彼は、より高いテンポとハードなリズムに挑戦し、その活躍の幅を広げている。 2017年、金字塔的アルバム『I Feel Alive』の前にTOPSに加入し、2022年にはDavidのプロデュースによるMarci名義でのデビュー作をリリースしたキーボード奏者のMarta Cikojevicは、本作でその役割をさらに拡大。作曲プロセスに参加し、Janeのヴォーカル・ラインの一部をバックアップし、アルバムで最も豊かで満足感のあるパートを演出している。

2023年の冬に曲作りが始まり、JaneとDavidはデモに取り組み、その夏にはバンドのスタジオで、ゆるやかな共同セッションを重ねていき、発展させていくことになった。スタジオの雰囲気は、1970年代の税務署を彷彿とさせるようなものだったようで、様々なペルソナやキャラクターが形作られていった。シンセサイザーを主体とした「Wheels At Night」では、Janeは当初、未亡人(「ここには私の服の隣にあなたの服以外何も残っていない」)をイメージしていたが、その後、より普遍的な喪失感へと展開させ、最終的には自分自身と向き合い、孤独の苦しみを歌った別れの曲へと昇華させた。Davidのギター・ラインがブリッジを彩り、語り手が私たちを孤独な道へと連れ出す。「ICU2」はピュアないちゃつきを湛えた曲で、JaneとMartaの遊び心のあるやり取りから生まれた、TOPSの定番アップテンポ・ナンバーだ。しかし、グルーヴの奥底には、クラブ・シーンが隠れており鏡の迷宮を暗示している。「まるで悪ふざけのようで、幻想的で、暗闇の中で何かを探しているところを捕まえられたような」とJaneは言い、1969年の『真夜中のカーボーイ』(Midnight Cowboy)のパーティー・シーンに見られるアート・ハウス風サイケデリックを想起させる。

アルバムが進むにつれて、邪悪な『Bury the Key』の影はより鮮明になる。中盤の「Annihilation」がまさにヒール・ターンと言えるだろう。この曲は非伝統的な試みから生まれた。Rileyはドラムから曲を組み立てるという課題に挑み、その結果、バンドは高速ハイハット、フィルイン、そして四つ打ちのビートのフィールドを築き上げた。坂本龍一とシネイド・オコナーの死後まもなく書かれたこの曲は、徐々に消え去りつつある文化的神話(「偉大な男も女も皆死ぬ、友よ」)へのオマージュであり、洗練された未来的なコーラスはYMOを彷彿とさせる。超絶技巧を凝らした「Falling On My Sword」は、アレンジの視点からDavidのハードコア音楽への関心を表現しているが、「最終的には自分たちのスタイルで演奏した」と彼は語る。「私たちは常に変化や再発明という考えに抵抗してきた」とJaneは語る。「でも、自分たちのサウンドの限界を押し広げ、これまでに作ったことのない何かに挑戦したかった。もっとハードにやりたかったんだ」。歌詞は、私たちをしばしば満たされないままにしてしまう社会規範や大人の制度の追求に疑問を投げかけている。

アルバムの中心となるのは「Chlorine」という「空虚な愛」のバラードで、毒素、化学物質に満ちたウォーター・パークの懐かしさ、不健康なバーの夜の安らぎを交錯させる。「成長過程での感情の幅、私たちが経験する事柄、自分を満たす方法が、同時に私たちを破壊する要因にもなるかもしれない」とJaneは説明する。この考えの重みは、『Bury the Key』全体に感じられる。このアルバムは、荒削りから磨き上げられた多面的なアルバムだ。痛みと喜び、そして生きていること、そして現代を代表するバンドの一つであることの複雑な喜びに根ざしている。


TRACK LIST:

01. Stars Come After You
02. Wheels at Night
03. ICU2
04. Outstanding in the Rain
05. Annihilation
06. Falling on my Sword
07. Call You Back
08. Chlorine
09. Mean Streak
10. Your Ride
11. Standing at the Edge of Fire
12. Paper House

TOPS『Bury the Key』お詫びと帯・解説書交換のお知らせ

 


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