Author: PLANCHA

“エコ・アンビエント”・デュオGreen-HouseがGhostly Internationalへ移籍、ニュー・アルバム『Hinterlands』を3月20日にリリース。新曲「Farewell, Little Island」がMVと共に公開。

Photo by Daniel Dorsa

Photo by Daniel Dorsa

Olive ArdizoniとMichael Flanaganによるロサンゼルス拠点のアンビエント・デュオ、Green-Houseが、新たにGhostly Internationalと契約。2023年の前作『A Host for All Kinds of Life』に続く待望のニュー・アルバム『Hinterlands』を3月20日にリリースすることを発表。あわせて、アルバムからの先行シングル「Farewell, Little Island」がMVと共に公開された。

今作についてArdizoniは、「幸福や喜び」といった感情を、芸術の文脈ではしばしば重く扱われがちなものとしてではなく、音楽の中で正当なものとして表現するというアイデアを軸にしている、と語っている。

なお新曲の「Farewell, Little Island」というタイトルは、現代テクノロジーによって沈みゆく村を描いた、Sándor Reisenbüchlerによる古い短編アニメーション作品から引用されたもの。

 

Green-House’s new album “Hinterlands” out March 20, 2026


Artist: Green-House
Title: Hinterlands
Label: PLANCHA / Ghostly International

Cat#: ARTPL-253
Format: CD
CD Release Date: 2026.03.20
Price(CD): 2,200 yen + tax

※ボーナス・トラック1曲収録予定
※解説付き予定


2023年の初来日も記憶に新しい、“エコ・アンビエント”・デュオGreen-Houseが、名門 Ghostly International移籍第一弾となる待望のサード・アルバム。自然と寄り添い、その繋がりを確かめ合うように、都市と野生、有機体とデジタルの境界を流麗に横断する未踏の音響風景(ヒンターランド)へ。溢れ出す“喜び”と“驚き”を鮮やかに鳴らす、新時代のマスターピースがここに。

Green-Houseとして活動するOlive ArdizoniとMichael Flanaganは、喜びを感じさせるダイナミックなシンセシス(音の合成)を通じて、人間性と自然界のつながりを探求している。

二人の共同制作は非常に深い。それはまるで迷彩(カモフラージュ)のように、周波数と表現が幾重にも重なり合う対話のプロセスだ。プロジェクトの出発点は、どちらのアーティストから始まることもある。Ardizoniがメロディを書き、Flanaganがそこに倍音(ハーモニクス)を構築していくこともあれば、その逆もまた然りだ。彼らのアイデアが二重螺旋のように絡み合い、個々の要素を超越した深淵な響きへと昇華される瞬間、そこにGreen-Houseとしての真の力が宿るのである。

名門Ghostly Internationalからの初リリースとなるフルアルバム『Hinterlands』において、彼らはその鮮やかなインストゥルメンタル・ソングクラフトをさらに洗練させ、ジャンルの枠に縛られない、より自由な躍動を手に入れた。これまでの作品よりもアクティブで打楽器的なアプローチ、そして感情豊かなエネルギーを湛えた本作。流れるような音の連なりは、聴く者の目の前に広大な景色を映し出す。『Hinterlands』は、この世界の美しさに対し、一種の「急進的で誠実な真心(radical honesty)」を持って向き合っているのだ。

2020年以降、ロサンゼルスのレーベルLeaving Recordsから数々の作品を世に送り出してきた二人は、常に環境への好奇心を抱き続けてきた。生楽器とシンセサイザー、高精細なサウンドデザイン、そしてArdizoniならではの独創的なメロディ。それらを駆使して、彼らは身近な場所から遠く離れた異郷(Hinterlands)まで、あらゆる空間を音で描き出す。

その旅は、アルバムの冒頭から鮮烈に始まる。オープニングの「Walking Through The Maples」では、生命力に満ちた複雑なレイヤーが、まるで目覚めたばかりの森を歩くような感覚を呼び起こす。続く「Mist On The Moat」は、霧に包まれた内省的な風景を描き出し、静謐な没入感を与える。

「The Cloud Table」は、本作の方向性を象徴する一曲だ。これまで以上にパーカッシブな要素が強調され、軽快なリズムと浮遊するシンセサイザーが絶妙な均衡を保っている。「The Wind Through The Chimes」では、風の動きを音に変換したかのような繊細なテクスチャが広がり、リスナーを束の間の瞑想へと誘う。

そして、タイトルトラックである「Hinterlands」。ここでは、アルバム全体のテーマである「未踏の地」の広大さと、そこにある微細な生命の鼓動が、ドラマチックな構成力をもって表現されている。続く「The Silent Summer」や「The Bird Of Paradise」でも、Green-Houseのシグネチャーと言える、色彩豊かで喚起力に満ちた音像が絶え間なく溢れ出す。

Green-Houseの音楽は、既存のカテゴリーに容易に収まるものではない。ニューエイジの思想やスピリチュアリティとは明確に一線を画しており、その音の構築美と密度の高さは、もはや「アンビエント」という言葉だけでは語り尽くせない。IDMや現代音楽の領域にまで大胆に踏み込んだ本作において、それでも変わらず底流に流れているのは、世界に対する開かれた好奇心と驚きの念である。

「音楽の中で、芸術としては軽視されがちな『幸福』や『歓び』といった感情を、揺るぎない正当なものとして表現したい」とArdizoniは語る。たとえ歌詞がなくても、彼女の多才なパーソナリティは、音の粒子一つひとつから眩いばかりに溢れ出している。

この『Hinterlands』は、単なるアルバムではない。それは、私たちが住むこの世界を、より鮮明に、より深く感じるための新しい地図なのだ。

Tracklist:

01. Sun Dogs
02. Sanibel
03. Farewell, Little Island
04. Misty Step
05. Dragline Silk
06. Hinterland I
07. Hinterland II
08. Hinterland III
09. Well of the World
10. Under the Oak
11. Bronze Age
12. Valley of Blue
ボーナス・トラック収録予定

 

Green-House’s new single “Farewell, Little Island” out now

Green-House – Farewell, Little Island (Official Video)

YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=YrbAUBAhmqk
Credits:
Michael Flanagan – Directed, Edited
Olive Ardizoni & Scott Tenefrancia – Yosemite photography

 

Green-House:

ロサンゼルスを拠点とする Olive Ardizoni と Michael Flanagan によるプロジェクトであり、2020年に Leaving Records から発表した『Six Songs for Invisible Gardens』で植物の生命力と共鳴する「エコ・アンビエント」という新たな地平を切り拓き、2021年の『Music for Living Spaces』でその評価を決定的なものとすると、2023年10月から11月にかけては待望の初来日ツアー(東京・大阪・京都・岡山・名古屋・松本)を敢行し、日本の環境音楽への深い敬愛を滲ませた多幸感溢れるライブパフォーマンスで各地のオーディエンスを魅了した Green-House は、2026年に名門 Ghostly International への電撃移籍を果たすとともに、これまでの静謐なテクスチャを保持しつつもより躍動的なパーカッションと「急進的で誠実な真心」をコンセプトに掲げ、デジタルと自然界が未踏の調和を見せる待望のサード・アルバム『Hinterlands』を世界に放つ。


Bing & Ruthの中核メンバーでもあるDavid Moore、ソロ・ピアノ作『Graze the Bell』より最終先行曲「Will We Be There」をMVと共に公開

Photo Credit: Nina Gofur

Photo Credit: Nina Gofur

Bing & Ruthの中核メンバーとして知られ、Steve GunnやCowboy Sadnessとのコラボレーションでも注目を集めてきたDavid Mooreが、RVNG Intl.より2026年1月30日にリリース(日本盤CDはPLANCHAから)するソロ・ピアノ作品集『Graze the Bell』より、最終先行シングル「Will We Be There」を公開した。あわせて、フランス人映像作家で長年のコラボレーターでもあるSébastian Crosが監督したミュージックビデオも公開されている。アルバム『Graze the Bell』はRVNG Intl.より2026年1月30日にリリース、日本盤はPLANCHAより発売される。

「Will We Be There」は、ゆっくりと鐘を鳴らすように進行する、静かな瞑想としてのソロ・ピアノ曲だ。柔らかく深く沈み込む低音は日々の緊張をほどき、催眠的な反復が聴き手の内面を照らしていく。手の届かないものへの切実な憧れ、ほとんど超越的とも言える憂いが漂い、その感覚はポルトガル語で“saudade(サウダージ)”と呼ばれる、言葉にし難い郷愁や渇望にも通じる。タイトルが投げかける「答えのなさ」は、隠れていた感情を意識の表層へと引き上げ、問いの過程そのものが深い慰めとして響く。

Mooreは本楽曲について、「環境、経済、社会、政治、技術など、あらゆる面で不確実さが増す未来を前にしたときに押し寄せる、解放的でもあり恐ろしくもある“諦め”の感覚の反映」だと語る。一方でそれは「身体への回帰」であり、「私たちの人間性を特別なものにしている要素を受け入れること」でもあるという。2026年のいま、改めて“人間性”を肯定し主張することの重要性が、切実に響く一曲となっている。

ミュージックビデオは、Le Centquatre-Parisでの振付リハーサルを捉えたもの。ゆっくりとしたパンと親密なクローズアップ、濃密なモノクロームの質感によって、楽曲の穏やかなドラマ性が際立つ。Crosは撮影した光景を「何かを求めるでもなく、同じ空間で、みんなが一緒にただグルーヴしている。人間性の最良の姿」と表現している。

 

David Moore new single “Will We Be There” out now

Artist: David Moore
Title: Will We Be There
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single
Listen / Buy: https://orcd.co/7ye1qp4

David Moore – Will We Be There (Official Video)

YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=i6Lw3GsNBrI
Directed by Sébastian Cros

 

David Moore’s new album “Graze the Bell” out January 30, 2026


Artist: David Moore
Title: Graze the Bell
Label: PLANCHA / RVNG Intl.

Cat#: ARTPL-249
Format: CD / Digital
CD Release Date: 2026.01.30
Price(CD): 2,200 yen + tax

※日本独自CD化
※ボーナス・トラック1曲収録

※解説付き


長いアンサンブル活動を経て、再びピアノの“原点”へ帰還
魂を揺さぶる魅惑的なソロ・ピアノ曲集であり、David Mooreの芸術性を最も凝縮した作品

Bing & Ruthのメンバーとして、そして近年はSteve Gunnとのコラボレーションでも知られるDavid Mooreが、“最も純粋な自分自身”として向き合ったピアノ・ソロ作品が完成。
Bing & Ruthはこれまでの数々の作品において、しばしばその形態とサウンドを変化させてきた。最大15名編成まで膨らんだ時期もあれば、最終的にトリオとしての在り方に到達したこともある。最新作『Species』ではムーアのファルフィサ奏法が前面に押し出され、同名のEPではその楽曲を彼自身がソロで再解釈した。この長い「精製」のプロセスの中心には、常にムーアによるピアノへの作曲と理解が存在している。20年にわたるアンサンブルでの活動を経て登場した『Graze the Bell』は、ムーアにとっての“帰還”とも言える作品だ。それは特定の場所や時間への回帰ではなく、それらを超えた、より内側にある光の中心へ帰っていくような瞬間である。

『Graze the Bell』に収録された楽曲のいくつかは、当初Bing & Ruthのアルバムとして構想されていたが、最終的にはソロ作品として再構築されることになった。ムーアはピアノのみを用い、これまで長年培ってきた手法を拡張しようと試みた。「成長し続けたいんです。そして固定化した考え方に挑みたい」と彼は語る。実験精神を積極的に受け入れ、演奏により深い“存在感”を宿すために、彼はピアノとの向き合い方、そして人生そのものを見つめ直した。ムーアの音楽は譜面に基づき、人生からの経験を取り込んでいるが、そのインスピレーションの源はより言語化しがたい領域にある。彼はその“捉えがたい何か”を意識的に育み、トランスのような状態へ自然に入る力を身につけたという。ムーアはその意図をもってピアノの前に座れば、「数秒のうちに完全にそこへ行ける」のだと語る。

本作は、一音目から最後の音まで、ニューヨーク州マウント・ヴァーノンのOktaven Audioで録音された“獣のような”1987年製ハンブルク・スタインウェイモデルDの息を呑むような響きを基盤としている。それは部分的に、時に“沈黙に触れる”ような彼の繊細な奏法に由来する。ムーアの優美なアプローチは音に空間を与え、多くの奏者が見過ごしてしまうようなピアノの色合いを浮かび上がらせる。これらのニュアンスは、グラミー受賞エンジニアBen KaneとアシスタントOwen Mulhollandによる録音・プロダクションによってさらに引き出された。彼らはムーアの実験的姿勢を後押しするように、ピッチ補正ソフトウェアをあえて“誤用”し、ピアノの音域ごとの音色をオーケストレーションする手法を用いた。

「graze the bell(ベルにかすかに触れる)」というフレーズは、数年前に突然ムーアの心に浮かび、詩的な響きを伴って彼の中に留まり続けた。人生はいつか何かに到達する「頂点」に向かう旅だという考えを、彼は長い間信じつつも次第に疑うようになった。いま彼は、“いまここにいること”にこそ確かな実感を見出している。「山頂なんて存在しないし、そこへ続く道もない。ただ、運が良ければ、時折ベルにふれることができるかもしれない――それだけなんです」と彼は綴る。その気づきはピアノ演奏にも取り込まれている。今作では、自身の癖、そして楽器そのものの癖をも受け入れ、微細な音、素朴なジェスチャー、幸運な偶然を大切にしている。

カバーに用いられている刺繍は、ノースカロライナ州の海岸で凧揚げをする妻を描いたものだ。アルバムのミックス作業と並行し約10カ月をかけて一針ずつ縫われており、その期間に起きた個人的な出来事――悲しみと希望の両方――が、その手仕事に織り込まれている。またムーアは双極性障害とも向き合っており、このアルバムの制作と刺繍の作業は、彼にとって瞑想的で癒やしをもたらす営みでもあった。

ムーアのピアノ演奏は、彼自身の経験を示す“隠された地図”のようなものであり、反復するメロディは、音階の空間をめぐりながら彼自身、そして聴き手を導いていく。ムーアの音楽は内に眠る感情を揺り動かし、私たちを共有する中心へと呼び戻す。人間性が日常的に揺さぶられ、損なわれてしまう時代にあって、『Graze the Bell』は私たちが本来の「帰るべき場所」と知っている心の響きを呼び覚ます。

Tracklist:

01. Then a Valley
02. Graze the Bell
03. No Deeper
04. Offering
05. Will We Be There
06. All This Has to Give
07. Rush Creek
08. Being Flowers
09. Pointe Nimbus (Bonus Track)

 

Photo Credit: Nina Gofur

Photo Credit: Nina Gofur

David Moore:

David Mooreはニューヨークを拠点とするピアニスト/作曲家で、ミニマル・アンビエントを基盤に独自の音楽世界を築いてきた。2006年に自身のアンサンブルBing & Ruthを結成し、最大15名編成まで拡張するなど多様な編成を経ながら、反復構造、空間性、テクスチャを重視した作曲手法を発展させてきた。2014年の『Tomorrow Was the Golden Age』が高い評価を得た後も、アンサンブルとソロの双方で活動を続け、近年はSteve Gunnとの共同作品やCowboy Sadnessでの演奏など幅広いプロジェクトに参加している。

Mooreの創作の核には常にピアノがあり、譜面に基づく構築性と、集中状態の中で生まれる即興的な感覚が共存する。音の揺らぎや沈黙に近いニュアンスを積極的に取り込みながら、自身の内面と向き合うようなアプローチを追究してきた。

現在は長年の探求を踏まえ、再びピアノを中心に据えた表現へ回帰しており、その流れの中でソロ・アルバム『Graze the Bell』が生まれている。


言葉とフィールドレコーディングを織り込むAtkinson、映像的感覚でアンビエントを紡ぐVantzouが共鳴 | 4/10リリースのRVNG Intl.「Reflections」シリーズ第3作『Water Poems』よりファースト・シングル公開

Photo Credit: John Also Bennett

Photo Credit: John Also Bennett

詩やフィールド・レコーディングを織り込んだエレクトロ・アコースティック作品で独自の表現を築いてきたFélicia Atkinsonと、映像的な感覚とオーケストラルな響きを横断しながらアンビエントの地平を拡張してきたChristina Vantzouが、コラボレーション・アルバム『Reflections Vol. 3: Water Poems』を4/10に発売することが決定。RVNG Intl.が企画する現代コラボレーション・シリーズ「Reflections」の第3弾となる本作より、先行シングル「Film Still / The Sea」とミュージック・ビデオが公開された。

『Reflections Vol. 3: Water Poems』において、Félicia Atkinson と Christina Vantzou は、長年の友情と大気的な芸術性を、儀式的な集中へと昇華させている。スポークンワードによる環境とオーケストラ的な想像力が支流のように流れ合い、海、空、石に根ざした夢幻的な楽曲とサウンドスケープのコレクションを生み出す。エレクトロアコースティックな楽器、声、環境音を通して、『Water Poems』は日常的な親密さと、すべての生命が立ち現れる海の神秘とのあいだにある潜在意識の空間へと聴き手を誘う。

「Film Still / The Sea」は『Water Poems』からの最初の楽曲である。催眠的なピアノのモチーフが海の時間感覚へと作品を固定し、漂うテクスチャーが二人の潜在的な語りを包み込む。抽象化されたギター、シンセサイザー、そして古代デルフォイで録音されたフィールドレコーディングが聴き手を没入させ、儀式的な魔法の感覚が立ち上がることで、この魅惑的な音世界の幕が開ける。

「Film Still / The Sea」には、Natasha Giannaraki が監督を務めたビデオが添えられている。ギリシャのイドラ島の海岸線で Super 8 フィルムを用いて撮影された本作は、Atkinson と Vantzou が『Water Poems』を制作した The Old Carpet Factory の風光明媚なスタジオとその周辺環境を背景に、二人の姿を印象派的なキャンバスとして捉える。瞬間のなかで生まれた記憶を、その場で掬い上げ、親しみのある距離感からフレームへと入り込んでくる、映画的ドキュメントである。

RVNG Intl. が企画する現代的コラボレーション・シリーズ「Reflections」の第3作となる Félicia Atkinson と Christina Vantzou の『Water Poems』は、2026年4月10日に LP、日本盤CD(Planchaより)、デジタルでリリースされる。

 

Félicia Atkinson & Christina Vantzou’s “Reflections Vol. 3: Water Poemsis” out on April 10, 2026.


Artist: Félicia Atkinson & Christina Vantzou
Title: Reflections Vol. 3: Water Poemsis

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL-252
Format: CD / Digital
Release Date: 2026.04.10
Price(CD): 2,200 yen + tax

※日本独自CD化
※ボーナス・トラック4曲収録
※解説付き予定


海を“人格”として見つめ、声と息遣い、環境音がひそやかに波打つ。Félicia AtkinsonとChristina Vantzouが友情と想像力を儀式のように編み上げたコラボレーション・アルバム

2009年に出会った Atkinson と Vantzou は断続的にコラボレーションを続けてきたが、2019年にパリ・フィルハーモニーで行われたコンサートが、本作の直接的な契機となった。現在はそれぞれ海沿いに暮らしており(Félicia は英仏海峡沿岸、Christina は地中海沿岸)、海は自然と彼女たちのミューズとなった。「海は単なる絵葉書的な存在として捉えられているのではありません」と Atkinson は語る。「むしろ、一人の人格のようなもの。エネルギーであり、謎であり、海辺に生きる人間として日々向き合う複雑な存在なのです」。大地や海岸線との対話のなかで、彼女たちの言葉と音の生成は聖礼的な性格を帯びていった。「奉仕の感覚、儀式的な感覚が、この作品には深く流れています」と Vantzou は述べる。「以前にも感じたことはありましたが、Félicia と制作するこのプロセスの中では、より強く感じられました」。

声、息遣い、水的なテクスチャーが『Water Poems』の海洋的な神秘性を特徴づけている。Vantzou にとっては新たな試みであり、Atkinson の作品においては長年の特徴でもあるスポークンワードは、ここでは互いに、そして水辺そのものに語りかけるような関係的な親密さを獲得している。言葉は2年をかけて共同で組み立てられ、根源的な無垢さをもって、生命の中を流れる見えない浮力や潜在的な流れへと意識を導く。「なぜ船は浮かぶのか? なぜ飛行機は飛ぶのか? なぜ身体は泳げるのか? なぜ人は夢を見るのか?」。至近距離で録音された声とフィールドレコーディングから始まった音像は、シンセサイザー、ゴング、メタロフォン、ピアノ、ヴィブラフォン、ローズ、ギター、メロトロンへと広がっていった。

冒頭曲「Film Still / The Sea」における潮の満ち引きを思わせるピアノは、アルバムの潜在意識的な水域へと聴き手を引き込む。この曲には、Vantzou がデルフォイで録音したフィールドレコーディングが含まれており、ピュティアの神託で知られるこの地に、彼女のギリシャ的ルーツがさらなる層を加えている。地質的な記憶を声として立ち上げるこの楽曲、そして『Water Poems』全体は、海岸保全と海辺とのより深い関係性を呼びかけている。本作の収益の一部は、ギリシャ地中海を対象とした非営利の保全プログラム「Arion」に寄付される。長年の友人でありコラボレーターでもある John Also Bennett は、アルバムの宇宙的な最終曲「Scorpio Purple Skies」において、エレクトリックギター、ラップスティールギター、そして声で参加している。豊かな編成は、本作のSF的な情景と儀式的な雰囲気を支えている。

『Water Poems』は、ギリシャのイドラ島にある18世紀の邸宅 The Old Carpet Factory、ローマの16世紀建築であるヴィラ・メディチ、そしてノルマンディーにある Atkinson の自宅スタジオ Les Dunes で録音された。歴史的な格式以上に、これらの土地が持つ具体的な時間の重なりが音楽を形作った。Atkinson は「不思議な磁力を持つ場所」に惹かれたと語る。ヴィラ・メディチでは「石や鉱物がスポークンワードの要素を導いた」という。「私たちは感覚、雰囲気、音に深く向き合っています」と Vantzou は続ける。「それが何を呼び起こし、何に仕えているのか。私たちの場合、水、空気、岩、宇宙といった生命に不可欠な基本要素に焦点を当てています」。クレタ島からファイルをやり取りしながら、Vantzou は最終ミックスを完成させた。海との接続を保ったまま行われたミキシングは、穏やかな忍耐と重要な「間」によって形作られている。

『Water Poems』は、海洋生物学者レイチェル・カーソンの言葉を想起させる。「海の縁に立つことは、地上の生命の中で最も永続的なものに近い知を得ることだ」。本作は、この海洋的な感覚を静けさと知性の源として儀式的に称えている。過激な意見と環境破壊に晒された世界において、『Water Poems』は「源の源」へと私たちの注意を向ける。そうすることで、人間の根源的で動物的な感覚と再びつながり、より深い流れに耳を澄ますための空間を開いている。


Track List:

01. Film Still / The Sea
02. A Secret
03. With / You / Movement / Creatures
04. Little Piano Rivers
05. Shines for Eternity
06. Amour, a liquid state
07. You are Porous
08. Scorpio Purple Skies (Feat. John Also Bennett)
09. Film Still / The Sea (Instrumental)*
10. A Secret (Instrumental)*
11. Shines for Eternity (Instrumental)*
12. Scorpio Purple Skies (Feat. John Also Bennett) (Instrumental)*

* Bonus tracks for the Japanese CD edition

 

Félicia Atkinson & Christina Vantzou‘s new single “Film Still / The Sea” out now


Artist: Félicia Atkinson & Christina Vantzou
Title: Film Still / The Sea
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single
Buy / Listen: https://orcd.co/e0akdav

Félicia Atkinson & Christina Vantzou – Film Still / The Sea (Official Video)
YouTube: https://youtu.be/bEC6OXKjVMA?si=sFFBk5wWF6BntIX6

Super 8mm film by Natasha Giannaraki
Images from inside The Old Carpet Factory and on the coastline of Hydra
Edited by Christina Vantzou and Natasha Giannaraki
Film transfer by Pedro Maia

Special thanks to Stephan Colloredo-Mansfeld Ekaterina Juskowski and Vasilis Korres


Colin Self、アルバム『respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis』拡張版を2月13日にリリース決定、Bathsをフィーチャーした新曲「The Thief’s Journal (feat. Baths)」を公開

Photo Credit: Christian Oldham

Photo Credit: Christian Oldham

ベルリンとニューヨークを拠点に活動するアーティスト/振付師で、Holly HerndonのコラボレーターでもあるColin Selfが、アルバム『respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis』(以降『r∞L4nGc』)の拡張版が2月13日にデジタル・リリースが決定。先行ファースト・シングルとして新曲「The Thief’s Journal (feat. Baths)」を公開しました。Baths(Will Wiesenfeld)を迎えた本楽曲は、オリジナル・アルバムの世界観を新たな角度から照らし出す重要な一曲となっている。

『respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis』の拡張版では、2025年2月にリリースされたプロデューサー、パフォーマー、作曲家、マルチディシプリン・アーティスト、そしてコラボレーターとして活動する Colin Self のサード・アルバムに、11曲の新たな楽曲が加えられている。追加された楽曲のほぼ半数はコラボレーションによるものであり、Self のクラフトというプリズムを、これまでとはまったく異なる角度から新たな光源が横切り、無数のスペクトルの世界が現実のものとして立ち現れる。鮮烈なディテールで振動する音の聖堂のように、本作ではひとつひとつの小さな瞬間が積み重なり、オリジナル・アルバムを特徴づけていた瑞々しい美しさをさらに豊かなものにしている。

愛に時間がかかるように、ソングライティングにも時間がかかる。「The Thief’s Journal」は、『r∞L4nGc(Expanded)』からのファースト・シングルであり、もともとはダンス・シークエンスのために書かれた楽曲だったが、Self がこの曲の初期バージョンを友人である Will Wiesenfeld、すなわち Baths に手渡すまで、その最終形には辿り着かなかった。ゼロから再構築された本作では、Wiesenfeld の忍耐強いプロダクションによって、柔らかく押さえられたピアノと流れ落ちるようなギターの旋律が重ねられ、Self のキャリアの中でも特に切望感に満ちたリリックを際立たせている。Self はこう歌う。「それは確かな、ほんの一瞬のこと/もうこの気持ちと戦えない/安全な世界で、僕らは一緒にいる/今なら、やっと君にキスしてもいい?」。長い時間をかけて紆余曲折を経て実を結ぶ恋愛と同じように、ついにここに辿り着いた「The Thief’s Journal」は、その待ち時間に十分値する楽曲となった。

 

Colin Self’s respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis (Expanded) is out on February 13, 2026.


Artist: Colin Self
Title: respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis (expanded)
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL228EX
Format: Digital
Release Date: 2026.02.13


光が分かたれることで、世界は増幅する。
Colin Self のサード・アルバム『respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis』は、拡張版においてその美と射程をさらに押し広げる。

光がプリズムを通過すると、虹色が虚空へと散乱する。かつては区別のない一本の光だったものが分かたれ、無数の存在として立ち現れる。それぞれはすべて、ひとつの光源から生まれている。しかしその分岐と分裂のなかにこそ、豊穣な新しい世界を授かるという贈り物がある。

ひとつであり、同時に多数でもあることを、色彩の奔流と脈打つ光のなかで同時に知覚すること。それこそが Colin Self の音楽がもたらす恩恵であり、その真価は、2025年2月に発表されたサード・アルバムに11曲を追加した拡張版『respite ∞ levity for the nameless ghost in crisis』において、これまで以上に明確に示されている。本作は、鮮烈なディテールで振動する音の聖堂のような存在であり、ひとつひとつの小さな瞬間が積み重なり、オリジナル・アルバムを特徴づけていた瑞々しい美しさをさらに豊かなものにしている。

Self の作品が放つ抗いがたい魅力の中心にあるのは、その声だ。声ひとつだけでも直感的で磁力を持ち、迷える魂を安全な岸辺へと導く灯台のような力を備えている。しかし、プロデューサー、パフォーマー、作曲家、マルチディシプリン・アーティスト、そしてコラボレーターとしての Self の仕事は、より多層的なかたちで完全性を獲得する。虹が無数の階調を内包するように、そのすべてのグラデーションに意味が満ちているのだ。とりわけ拡張版『r∞L4nGc』では、そのコラボレーターとしての側面が最も鮮明に浮かび上がる。新たに追加された楽曲のほぼ半数が旧知の仲間たちとの共作であり、Self は舞台を共有することを切望している。異なる角度から差し込む新たな光源が、プリズムを横切っていく。

初出時に『r∞L4nGc』を特別な作品たらしめていた要素、すなわち亡きクィアの先人たちに捧げる歌声、何世紀も先の異星のダンスフロアで鳴り響くかのようなビート、そして11分に及ぶクロージング曲「∞」に体現された、自己を解体するほどの無限性と探究精神は、すべて本作にも息づいている。オリジナル・アルバム収録曲の「gajo」と「Losing Faith」は、アコースティック・ヴァージョンとして再登場する。Self の精緻なエレクトロニクスを取り払ってもなお、これらの楽曲は装飾性を失わず、壊れかけのメリーゴーラウンドのように幽玄な美しさを湛えている。華やかな仕掛けはなくとも、丁寧に塗り重ねられた色彩が残り、Self のソングライターとしての力量がそれぞれの楽曲を確かなものにしている。

一方で、他者の声を迎えたオペラティックな楽曲群では、Self のコラボレーターとして、また形式を操る作家としての才能が際立つ。友人 Geo Wyex をフィーチャーした「Alphabet’s Chant」は、Self のオペラ作品『Tip the Ivy』に初めて登場した楽曲であり、Wyex の呪文のような歌唱が、舞台上で立ち現れた幻覚的な神秘性を再び呼び起こす。「Their slow and blue shine / Coming though that so thick fog on the water」という一節が、その世界観を鮮やかに描き出す。また、ドイツのクラシック合唱団ベルリン放送合唱団の委嘱によって制作された「Nanti Polari」では、Iwona Sobotka がポラリと呼ばれる言語で歌う。ポラリとは、数世紀前に投獄されたクィアたちが用いた隠語的な英語であり、Self は本作全体を通して、この符牒の言語を用いて語りかけている。

拡張版『r∞L4nGc』は、ヴィジュアル・アーティストの Diamond Stingily をフィーチャーした「disobedient daughters」で締めくくられる。このヴァージョンに収録された全23曲は、過去5年にわたって共に成長してきた作品群だが、Self は「disobedient daughters」が比較的新しい楽曲であり、同時に次なる方向性を示すものだと語っている。Self の作品は常に複数の時間軸を横断し、遠い過去の先人たちの記憶と、より自由な未来への夢とを現在へと引き寄せてきた。「disobedient daughters」も例外ではない。時間に縛られた存在としての「歌」という概念を破壊する、多声的なアンセムとして響き渡る。「I will fight for you / Because you fought for me / I will only stop / Once everyone is free(私はあなたのために闘う/あなたが私のために闘ってくれたから/すべての人が自由になるまで/私は止まらない)」と、Self は高らかに唱える。


Track List:

01. respite for the tulpamancer
02. gajo
03. Doll Park Doll Park
04. Dissimulato
05. Losing Faith
06. {canting}
07. Busy walks into The Memory Palace
08. paraphrase of a shadow
09. riddlecraft
10. gaolbreaker’s dream
11. Tip The Ivy
12. ∞
13. The Thief’s Journal (feat. Baths)
14. alphabet’s chant (feat. Geo Wyex)
15. Sissykins (The Glass Hooker) (feat. Macy Rodman)
16. Alone (4th Version)
17. Nanti Polari (feat. Iwona Sabotka)
18. LMO
19. set in stone
20. sunspew makes moonrune
21. gajo (acoustic version)
22. Losing Faith (acoustic version)
23. disobedient daughters (feat. Diamond Stingily & Eve Essex)

 

Colin Self’s new single “The Thief’s Journal (feat. Baths)” out now

Artist: Colin Self
Title: The Thief’s Journal (feat. Baths)
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single
Buy / Listen: https://orcd.co/ypbdbvl

Colin Self – The Thief’s Journal (feat. Baths) [Official Audio]
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=stwMsm9Q3GU


NYブルックリンのコンポーザー/プロデューサー/パペッティア、Tristan Allenのニュー・アルバム『Osni the Flare』がRVNG Intl.から3月27日にリリース決定 | 先行ファースト・シングル「Act I: Garden」がMVと共に公開

Photo Credit: Virginia G. Ruiz

Photo Credit: Virginia G. Ruiz

神話と音が交差する壮大な創世記

NYブルックリンを拠点に活動するコンポーザー/プロデューサー/パペッティア(操り人形師)Tristan Allenによる最新アルバム『Osni the Flare』が、2026年3月27日にリリースされる。US名門エクスペリメンタル・レーベル RVNG Intl. からのアナログLP/デジタル配信に加え、日本盤CDは PLANCHA よりリリースされる。

『Osni the Flare』は、2023年作『Tin Iso and the Dawn』に続く“神話三部作”の第二章。火の発見を通じて、人間が神へと変容していく物語を軸に、音と物語、そして視覚表現までもが緻密に編み込まれた壮大な作品だ。
4年にわたる制作期間の中で、言葉を持たないヴォーカル、オルガン、オカリナ、数多くのトイ楽器、ミュージックボックス、フィールドレコーディングなどを用い、全4幕構成で“炎と時間の起源”を描き出している。

物語は、庭で目覚めた存在「Osni」が一本の木を守るため旅立つところから始まる。鳥に導かれ、ドラゴンの腹の中で“熾火(embers)”を見つけたOsniは、それを木に捧げることで火を生み出す。しかし海の神Isoによる大洪水により命を落とし、影の世界で神として再生する──本作は、死と再生、創造と喪失を内包した創世神話として展開される。

サウンド面では、前作に比べてより人間的で、子どものような感触が前面に押し出されているのも特徴だ。ピアノを“帰還の象徴”として冒頭と終章に配置し、生者の世界・狭間の世界・彼岸という三つの領域を横断していく構成は、聴き手自身が物語の主人公となるよう設計されている。

録音の多くは、ブルックリンの自宅アパートで行われた。玩具ピアノ、バリ島のスリン笛、中国の土産物店で見つけたフルート、壊れかけのCasio SK-1、無数のベルやミュージックボックス──それら一音一音を丹念に録音・再構築することで、現実と幻想の境界が溶け合う独自の音世界が形作られている。
ミックスはPaul Corley、マスタリングはStephan Mathieuが担当。Allen自身によるアートワークとパペット表現も含め、音楽・物語・視覚表現が完全に同期した総合芸術作品と言えるだろう。

神話とは何か、音楽はどこまで“物語”になり得るのか。
『Osni the Flare』は、Tristan Allenが長年構築してきた幻想世界の中で、“火”と“神話”の誕生そのものを描いた決定的作品である。

公開された先行ファースト・シングル「Act I: Garden」は静謐な囁きから始まり、次第に音の密度を増していくアルバムの序章。
フルートやオカリナ、ミュージックボックス、言葉を持たないハミングが折り重なり、聴き手を神話世界へと導く。

 

Tristan Allen’ new album “Osni the Flare” out March 27


Artist: Tristan Allen
Title: Osni the Flare

Label: PLANCHA / RVNG Intl.

Cat#: ARTPL-251 (CD)
Format: CD / Digital

※日本独自CD化
※解説付き予定

Release Date: 2025.03.27

Price(CD): 2,200 yen + tax


音で紡がれる創世神話。Tristan Allenが描く「火」と「時間」の起源。

『Osni the Flare』は、Tristan Allenによる神話三部作の第二章にあたる作品であり、作曲家、プロデューサー、そしてパペッティア(操り人形師)でもあるAllenが、「火の発見」を通して一人の人間が神へと変容していく過程を描いたアルバムである。4年にわたる制作期間の中で、言葉を持たないヴォーカル、オルガン、オカリナ、数多くのトイ楽器、そして緻密なサウンド・デザインを用い、音響的にも視覚的にも強い没入感を持つ全4幕構成で、炎と時間の起源が紐解かれていく。美しさ、影、そして郷愁を帯びた熾火の間を揺れ動く創世神話を織り上げながら、Allenは、幻想世界に反響する、精緻に構築された感情豊かな音と物語への入口を提示する。

ニューヨーク州サラトガ・スプリングスに生まれ、幼少期には家族の日本滞在にまつわる記憶を持つAllenは、ピアノへの関心と才能を育む中で、即興演奏を勧めた教師Andy Iorioや、バークリー音楽大学のサマープログラムで16歳のAllenを見出し、初リリースをクラウドファンディングで支援したAmanda Palmerなど、重要な出会いを経験してきた。バークリーでピアノを学び、ライブ・エレクトロニクス集団Nueを共同設立し、メタル・バンドDentの一員として中国ツアーを行い、2作のソロ・ピアノEPを発表した後、2018年にボストンを離れてブルックリンへ拠点を移す。Craigslistで見つけた募集をきっかけに、Mike Leachのもとで操り人形の訓練を受け、6か月にわたりマリオネットの正しい歩かせ方を学び、名門Puppetworks劇場のパフォーマーとして活動するに至った。こうした厳格な訓練に加え、父親が所蔵していたBread and Puppet Theaterの資料や、バリ島の影絵芝居に触れた経験が、アコースティック楽器の作曲、電子的アレンジ、そして人形劇を通じたパフォーマンスという、Allen独自の創作実践へと結実していく。

『Osni the Flare』は、庭で目覚め、木からリンゴを摘む主人公Osniの物語を追う創世神話である。ルーン(アビ)に導かれ、冬の寒さから木を守るため旅立つOsni。しかしそのルーンがドラゴンに飲み込まれると、Osniはその腹の中へ入り、熾火を見つけ出す。その熾火を木に捧げることで炎が生まれ、火そのものの起源が誕生する。だが海の神Isoが洪水を起こし、Osniの庭は水没する。死後、Osniの魂は影の世界へと入り、TinとIsoに合流し、火の神「Osni the Flare」へと変容する。本作は、前作『Tin Iso and The Dawn』と比べて、より人間的で、子どものような感触を持つサウンドが特徴であり、神々の俯瞰的視点から、Allenの世界における最初の「人間」の物語へと焦点が移されている。新たな愛に支えられた感情が音楽へと昇華され、独自の魔法のような響きを生み出している点も印象的だ。前作同様、ピアノは「帰る場所」を象徴するポータルとして冒頭と終盤に配置され、Osniは生者の世界、狭間の世界、そして彼岸という三つの領域を旅していく。

本作は、ブルックリンの自宅アパート、サイプレス・ヒルズ墓地を望む部屋で、ほぼ全編がAstonのコンデンサー・マイク一本で録音された。トイ・ピアノやフルート、オカリナ、ハルモニウム、ポンプ・オルガン、エレクトリック・ベースとアップライト・ベース、各種ガジェット、そして膨大な数のミュージックボックスやベルを用いて音世界が構築されている。パートナーであるVirginia Garcia Ruizの『パンズ・ラビリンス』を想起させるハミングに着想を得たヴォーカル・メロディは、Allenにとって初めての本格的な声の試みであり、言葉を排した旋律によって、聴き手自身が物語の主人公であり続けられるよう意図されている。バリ島のスリン、中国の土産物店で見つけたフルート、鳥や亀の形をしたオカリナなどは一音ずつ丁寧に録音され、ミュージックボックスもゆっくりと巻き上げて個別にサンプリングされた後、Virginiaのハミングをなぞるように再構成・調律された。スピーカーが壊れかけたCasio SK-1は、ハルモニウムと組み合わされ、独特の和声テクスチャーを生み出している。

1時間に及ぶ即興演奏をBastl ThymeやNanoVerbに通し、長く減衰するディレイを生成し、その中から最良の瞬間が楽曲として抽出された。炎の音は、ピアノの鍵盤を爪で弾くクリック音から生まれ、フィールドレコーディングではピアノの土台を解体する音、ロウソクを消す音、ホスピスで収録された環境音などが使用されている。ドラゴンの声は、Allenが創作した架空言語で語られ、旋律はゴスやガムランに影響を受けた低音域に据えられ、装飾的な音が上へと重ねられていく。こうした細密な手法は、アルバム・アートワークにおける点描にも通じるもので、シャワーの中や眠りに落ちる直前、会話の途中に至るまで、執拗に積み重ねられた小さな断片が、やがて巨大な全体像を形作っていく。

ピアノはエンジニアのKatie Von SchleicherによってFigure 8 Recordingで再録音され、ミックスはPaul Corleyが担当した。テクニカル・ディレクターのJim Freemanは、Bruce Schwartzのバレリーナ人形に着想を得たバスウッド製ロッド・パペットの制作において、首の可動部に4か月、肩の構造に5か月を費やしてAllenと共同制作を行った。Freemanが長年開発してきた自作LED照明システムは舞台上から人形劇を照らし、その作業中に無意識に口ずさんだ口笛は密かに録音され、アルバムの終盤に登場する。人形制作ではMiryam Moutillet、Lauder Weldonが参加し、ハイブリッドな頭部はDuygu Bayar Ekrenが手がけた。2023年の『Tin Iso』以降、Allenはニューヨークの実験的パペット・コミュニティに拠点を見出し、Jim Henson FoundationやLa MaMaからの支援を受けて活動を続けている。

『Osni the Flare』は、Tristan Allenが継続してきた世界構築を、驚くほどの統一感と精度で結実させた作品である。無数の要素がきらめくように結びつき、ひとつのアイデアから派生しながら同一世界を共有するファンタジー・シリーズのように展開される。本作は、ファンタジー映画を観て育った少年時代のAllenが思い描いていた理想、すなわち「人が楽器を演奏している音ではなく、幻想世界そのものが鳴っているような音楽」を現実のものとしている。パペッティアの技法である「真実の嘘を語る」ことを通じて、Allenは聴き手に、より原初的で直接的な体験へと誘う。Osniが人から神へと変容していく過程は、火の起源であると同時に、神話そのものの起源を描き出しているのだ。


TRACK LIST:

01. Osni Opening
02. Act I: Garden
03. Act I: Loon
04. Act II: Dragon
05. Act II: Pyre
06. Act III: Umbra
07. Act III: Rite
08. Act IV: Flood
09. Act IV: Everglow
10. Osni Closing

 

Tristan Allen’s new single “Act I: Garden” out now

 

Artist: Tristan Allen
Title: Act I: Garden

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single

Buy / Listen: https://orcd.co/bv6kkwe

Tristan Allen – Act I: Garden [Official Video]
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=40kuu2fXbVY
Video directed by Travis Hood & Ross Mayfield
Technical direction by Jim Freeman

 


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