ARTISTS

GREEN-HOUSE

ロサンゼルスを拠点とするノンバイナリー・アーティスト、Olive Ardizoniによるプロジェクトとして始動し、現在は盟友Michael Flanagan(Green-Houseの諸作を始め様々なアーティストの作品のデザインも手がけるデザイナーでもある)をフィーチャーしたデュオとして活動している。ノンバイナリー・アーティストとして、演奏者としても聴き手としても障壁の少ない空間を創りたいと考えており、意図的に素朴さを持ってプロジェクトに取り組み、シンプルさを通して自由を見つける曲を作り上げている。2020年にリリースされた「植物とその世話をする人々の相互のコミュニケーション」をコンセプトにしたファーストEP『Six Songs for Invisible Gardens』がロングセラーとなり、現行のアンビエント・アーティストとして最注目の存在となる。2021年にはファースト・フル・アルバム『Music For Living Spaces』を発表し、EPでみせたミニマルな構成を踏襲しつつも、親しみ易いメロディーを加味してエモーショナルな円弧を描くような進化を遂げ、パンデミックの憂鬱を解消する、人と自然をつなぐ生活空間のための音のオアシスを紡ぎ出し、さらに評価を高めた。2022年には2021年〜2022年の間に録り溜められていた未発表曲、レア音源のコレクション『Solar Editions』を発表。そして2023年10月にセカンド・アルバム『A Host For All Kinds of Life』がリリースされることが発表され、遂に待望の初来日ツアーが決定した。


Salamanda

韓国はソウルを拠点に実験的なエレクトロニック・ミュージックを探求するSalaことUman ThermaとMandaことYetsubyによるプロデューサー/DJデュオ。
2018年に共通の友人を介して出会い、すぐに両者はミニマル・ミュージックへの親和性を共有していることと、一緒に仕事をすると特別な「相乗効果」が生まれることに気付き、彼女達は「私達が好きな音楽を自由に作ることができる」プロジェクトであるSalamandaを結成。
2019年にタイムレスなアジアのサウンドと現代のインターナショナル・プロダクションの融合に焦点を当てた地元ソウルの注目レーベル、Tonal UnityからEP「Our Lair」でデビュー。そして2020年にはセルフ・リリースにてEP『Glass Cage』をリリースした。
やがて彼女達の創り出すアンビエント・ミュージックは世界からも注目を集めるようになり、Biscuit主宰のフランスの名門Good Morning Tapesから2020年にデビュー・アルバム『Allez!』を発表。
続く2021年にLi Yileiや冥丁などアジアのアンビエント〜エレクトロニック系のアーティストを輩出しているMétron Recordsの姉妹レーベルsmall méasuresからセカンド・アルバム『Sphere』をリリースし、着実に評価を高めていった。
そして2022年、ブルックリンの人気コミュニティ・ラジオ、The Lot Radioでレジデントも務めるSimisea(RVNG Intl.のスタッフも務める)とTristan Arp(UKのWisdom Teethからソロ・アルバムをリリースし、Asa Toneのメンバーでもある)の2人が運営する新進気鋭のレーベルHuman Pitchとの契約し、サード・アルバム『ashbalkum』のリリースが決定した。Salamandaは20世紀のミニマリズムに大きな影響を受けており、モジュラー・シンセ、エフェクター、厳選されたサンプルと自分たちの声を駆使して、オーガニックとコズミックの間を漂うような、ノスタルジックで透明感のある独特のアンビエント・コンポジションを描き出している。


EDEN SAMARA

カナダのブリティッシュ コロンビア州ネルソンにある小さなの山間の町で育った。周囲には広大な原野が広がる人口1万人ほどの町で、彼女は、Grizzly Bearなどのインディ・ポップ・バンドの万華鏡のようなサウンドや、USダブステップの心を溶かす低音など、新しい世界にアクセスする方法としてオンライン音楽検索に没頭していた。しかし、彼女が実験的なダンスミュージックの奔流を直接体験したのは、2008年にトロントに引っ越してからだった。まだアンダーグラウンドな存在だったBicepが出演するパーティーがあり、そこで彼女はエキサイティングの体験をし、UKクラブカルチャーへにのめり込み、2019年にロンドンに移住することになった。到着して数日後、彼女はHyperdubのアーティスト数人が主宰する制作ワークショップに参加した。ここでプロデューサーのLoraine Jamesと出会う。そして交流を深めLoraineの2021年のアルバム『Reflection』の「Running Like That」トラックにヴォーカルで参加した。同年、Edenは共通の友人であるDJのpeachに紹介され、スケートパークでCan you feel the sunの共同設立者であるParrisと出会う。Charli XCXに夢中になっていることで意気投合し、ハイパーポップが好きという共通点から、「Skater’s World」でコラボすることになった。Parrisがこれまでに発表した曲の中で最も勢いがあり、Edenがアーティストとして正しく紹介された曲である。そして2022年、Ryan Pierreとの共同プロデュースでトロント〜ロンドンで録音・制作されたアルバム『Rough Night』が名門Local Actionよりリリースされた。Call Super、Shanti Celeste、TSVI、Loraine James等が参加しており、Edenは「コラボレーションをアルバムの決定的な特徴の1つにしている」と言い、「多くのダンス ミュージック プロデューサーは、制作を完全に内省的なプロセスと見なしています」「ポップ ミュージックを作ると、そこから抜け出すことができます」と語っている。


MAARJA NUUT

1986年生まれ、エストニアはラクヴェレ出身のコンポーザー/プロデューサー/シンガー/ヴァイオリニスト。幼少期から合唱団の指導者でもあった母親の影響で音楽を親しむようになる、7歳からヴァイオリンのレッスンを受け始め、12歳からタリン音楽高等学校で学んだ後、エストニア音楽・演劇アカデミーに入学。エストニアやヨーロッパ各地の音楽祭に参加し、早くから民族音楽に興味を持つようになる。21歳のとき、オランダ人チェリストのサスキア・ラオ・デ・ハースとともにインドを訪れ、ヒンドゥスターン音楽を学んだ。
2008年、エストニアに戻った彼女は民族音楽の道に進むことを決め、タルトゥ大学の一部門であるヴィリヤンディ文化アカデミーで学んだ。ここで、ソビエト連邦以前のエストニアの村の音楽の78回転レコードに出会い、インスピレーション得る。2011年からストックホルム大学で学び、特にポーランドの村落民俗音楽への関心を深めた。2014年に音楽の修士号を取得して卒業した。
元々はクラシックを学んでいたが、民族〜フォーク・ミュージックへと傾倒し、伝統的なエストニアのヴィレッジ・スタイル現代的な解釈へと消化するスタイルを確立。2013年にソロ・アーティストとしてアルバム『Soolo』デビューし、タリン・ミュージック・ウィークでアーティスト賞を受賞。2016年、ソロ・セカンド作『Une Meeles』をリリースし高い評価を得た後、独自のアブストラクト・エレクトロニック・サウンドを生成するHendrikKaljujärv(別名Ruum)とのコラボレーションを開始。Maarja Nuut & Ruumのデュオ名義で2枚のアルバムをリリースし、国際的なフェスティバルへの出演も果たす。2020年にはSan Arawとのコラボ作をリリースし話題となった。そして2021年にパンデミックのタイミングで受け継がれた祖母の古い農場の開墾と修理の合間を縫って自信の海辺のスタジオでプロデュース、録音をほぼ1人で敢行した自身にとって”初めての本格的なソロ・アルバム”という『hinged』をリリースした。


WHATEVER THE WEATHER

Whatever The WeatherはHyperdubから良作をリリースしているノース・ロンドンのプロデューサー、Loraine Jamesによる別名義プロジェクト。Loraineはパンデミック以降の激動のこの2年間をアートを通じて駆け抜けてきた。NTSラジオでマンスリーのショーを始め、Bandcampでいくつかのプロジェクトを共有し、Hyperdubから『Nothing EP』と、2019年のブレイク作『For You and I』以来となるアルバム『Reflection』の2作のリリースした。そして同時に自身が10代の頃に持っていた未知の創造的な領域へと回帰し、この別名義プロジェクトの発足へと至る。Whatever The Weather名義ではクラブ・ミュージックとは対照的に、キーボードの即興演奏とヴォーカルの実験が行われ、パーカッシヴな構造を捨ててアトモスフィアと音色の形成が優先されている。
そしてデビュー作となるセイム・タイトル・アルバム『Whatever The Weather』が自身が長年ファンだったというGhoslty Internationalからリリースされた(Loraineは本アルバムのマスタリングを依頼したTelefon Tel Aviv、HTRK、Lusineなど、アンビエントと親和性の高いGhostly Internationalのアーティストたちのファンである)。「天気がどうであれ」というタイトルにもちなんで、曲名は全て温度数で示されている。周期的、季節的、そして予測不可能に展開されるアンビエント〜IDMを横断するサウンドで、20年代エレクトロニカの傑作(ele-king booksの『AMBIENT definitive 増補改訂版』にも掲載)として幅広いリスナーから支持を得ている。


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