もはやCD-Rでさえなく、シルク・スクリーンで刷ったジャケットに挟んだ7インチ、キンコーズでコピーしてきたジンの方に親指を上げ、歓声を上げる彼ら。パンクと『スニッフィン・グルー』からおよそ30年、その間にハードコアとスケーター・カルチャー、『C86』や数多のジンスターたちを挟んだとして、映画『KIDS』からだってすでに15年が経っているのだ。そんな2009年、再びレコード・ショップの一角に7インチ・コーナーが設けられるようになるなんて(もちろん、なくなっていたわけじゃないけど)、誰が予想できただろう? そして、このギャングリアンズである。

彼らもまた、イート・スカルとのスプリット・シングルや、また、ウッドシストから作品をリリースすることで、これら新興勢力のひとつとして瞠目されるバンドのひとつである。とはいえ、拠点としている場所がブルックリンでもロスアンジェルスでも、また、オレゴン州ポートランドでもなく、カリフォルニア州サクラメントであることが、まず、彼らのサウンドの風通しの良さと明るさを裏づける一因となっていると言えるだろう。余談だが、イート・スカルの面々とは「ポートランド嫌い」の共通項があるらしい(ポートランドは住みやすい街とされるが、雨の多い陰鬱な気候でも知られている)。

メンバーはライアン・グラブス、カイル・フーヴァー、アレックス・ソウルズ、エイドリアン・コメンザインの4人。皆、21~23歳という若さである。メンバーのうち、ライアンだけモンタナ出身だが、残りの3人は全員、サクラメント郊外で生まれ育っている。ちなみにバンドの結成秘話はこうだ。ライアンが仕事から家に帰る途中、ある家に通りかかると誰かがジャム・セッションする楽しげな音が漏れてきたのだという。聴き耳を立てるライアン。「僕も混ぜてほしいな」と思う。そのうち、その家がエイドリアンの家であることが分かる。ライアンはサクラメントに引っ越してはじめの頃、ひょんなことからエイドリアンと知り合っていたのだ。さらにその後、エイドリアンを通じてカイルを紹介してもらい、お互いのテープを交換するようになり、また、ライアンが人前で演奏をお願いされる機会ができると、せっかくだからバンドでやろうかな、と迷わず3人に声をかける。これが、ギャングリアンズのはじまりになったらしい。一説によると、そのデビュー・ライヴはエレクトリック・ギター3本を使ったノイジーなもので、彼らは図らずも「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン系」という不名誉な称号を戴いてしまったのだとか。

また、ギャングリアンズという名前は、ガングリオン嚢胞という非ガン性のこぶに由来している。スペルこそ1文字変えてはいるが、それが、あまりゾッとするようなものでないことは、グーグルで画像検索してみれば分かるだろう。相当、時間を持てあましている方にだけオススメしておく。ともかくメンバー曰く、ギャングリアンズという名前が、どこかミステリアスで神話のように響いたらしい。

(日本盤ライナーノーツより抜粋)

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