Photo Credit: Virginia G. Ruiz

Photo Credit: Virginia G. Ruiz

NYブルックリンを拠点に活動するコンポーザー/プロデューサー/パペッティア(操り人形師)Tristan AllenがRVNG Intl.から3/27にリリースするニュー・アルバム『Osni the Flare』から第二弾シングルとなる「Act III: Rite」がMVと共に公開。

『Osni the Flare』は、Tristan Allenによる神話的三部作の第2章。作曲家、プロデューサー、そして人形遣いでもあるAllenが、“火”の発見を通じて、一人の人間が神へと変容していく過程を描く。

4年にわたって録音された本作は、言葉のないヴォーカル、オルガン、オカリナ、数々のおもちゃの楽器、そして緻密なサウンドデザインを用い、炎と時間性(テンポラリティ)の起源を、音と映像の両面で惹きつける4つの幕(Act)として展開する。美しさ、影、そして物悲しい残り火のあいだを揺れ動く創世神話を織り上げながら、Allenは、丹念に作り込まれた感情の濃いサウンドと物語へと通じる“入口”を提示し、その響きは幻想的な領域にこだましていく。

『Osni the Flare』からの第2弾となる「Act III: Rite」は、低くループするベース主導のメロディを軸に渦を巻くように進み、回転するたびに光を帯びていく。路上で拾われたポンプオルガンとハルモニウムが楽曲の土台を成し、その送風機構は、オートマトンのようなエンジン音を思わせる“唸り”を模倣し、圧縮され、搾り出されるように鳴る。

やがて「Rite」は、より穏やかで啓示的なきらめきへと急旋回する。トンネルや呪文の中に投げ込まれたかのように、空虚で幽玄な感触。地に足のついた儀式として始まったものが、次第に繋ぎ留められていたものをほどかれ、幻視的で輪郭のない何かへと変化していく。火が、ひび割れ始めた見慣れた世界へと注意を引き寄せるように、そこに“召喚(インヴォケーション)”が立ち上がる。

Travis HoodとRoss Mayfieldは、Allenの2023年作『Tin Iso and the Dawn』を、命を吹き込まれた人形劇のページェントとして、そして別次元へと開くものとして見事に記録したのち、本作でも再び参加している。以下では、昨年11月にニューヨークのLa MaMaで初演されたAllenの新作「パペット・バレエ」におけるパフォーマンスをフィーチャーした、「Act III: Rite」の映像をこの2人組が手がけている。

 

Tristan Allen’s new single “Act III: Rite” out now

 

Artist: Tristan Allen
Title: Act III: Rite

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single

Buy / Listen: https://orcd.co/q1kw6ro

Tristan Allen – Act III: Rite [Official Video] 

YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=E4GjPKVbeMU

Video directed by Travis Hood & Ross Mayfield
Technical direction by Jim Freeman
Made possible by the support of The Jim Henson Foundation

 

Tristan Allen’ new album “Osni the Flare” out March 27


Artist: Tristan Allen
Title: Osni the Flare

Label: PLANCHA / RVNG Intl.

Cat#: ARTPL-251 (CD)
Format: CD / Digital

※日本独自CD化
※解説付き予定

Release Date: 2025.03.27

Price(CD): 2,200 yen + tax


音で紡がれる創世神話。Tristan Allenが描く「火」と「時間」の起源。

『Osni the Flare』は、Tristan Allenによる神話三部作の第二章にあたる作品であり、作曲家、プロデューサー、そしてパペッティア(操り人形師)でもあるAllenが、「火の発見」を通して一人の人間が神へと変容していく過程を描いたアルバムである。4年にわたる制作期間の中で、言葉を持たないヴォーカル、オルガン、オカリナ、数多くのトイ楽器、そして緻密なサウンド・デザインを用い、音響的にも視覚的にも強い没入感を持つ全4幕構成で、炎と時間の起源が紐解かれていく。美しさ、影、そして郷愁を帯びた熾火の間を揺れ動く創世神話を織り上げながら、Allenは、幻想世界に反響する、精緻に構築された感情豊かな音と物語への入口を提示する。

ニューヨーク州サラトガ・スプリングスに生まれ、幼少期には家族の日本滞在にまつわる記憶を持つAllenは、ピアノへの関心と才能を育む中で、即興演奏を勧めた教師Andy Iorioや、バークリー音楽大学のサマープログラムで16歳のAllenを見出し、初リリースをクラウドファンディングで支援したAmanda Palmerなど、重要な出会いを経験してきた。バークリーでピアノを学び、ライブ・エレクトロニクス集団Nueを共同設立し、メタル・バンドDentの一員として中国ツアーを行い、2作のソロ・ピアノEPを発表した後、2018年にボストンを離れてブルックリンへ拠点を移す。Craigslistで見つけた募集をきっかけに、Mike Leachのもとで操り人形の訓練を受け、6か月にわたりマリオネットの正しい歩かせ方を学び、名門Puppetworks劇場のパフォーマーとして活動するに至った。こうした厳格な訓練に加え、父親が所蔵していたBread and Puppet Theaterの資料や、バリ島の影絵芝居に触れた経験が、アコースティック楽器の作曲、電子的アレンジ、そして人形劇を通じたパフォーマンスという、Allen独自の創作実践へと結実していく。

『Osni the Flare』は、庭で目覚め、木からリンゴを摘む主人公Osniの物語を追う創世神話である。ルーン(アビ)に導かれ、冬の寒さから木を守るため旅立つOsni。しかしそのルーンがドラゴンに飲み込まれると、Osniはその腹の中へ入り、熾火を見つけ出す。その熾火を木に捧げることで炎が生まれ、火そのものの起源が誕生する。だが海の神Isoが洪水を起こし、Osniの庭は水没する。死後、Osniの魂は影の世界へと入り、TinとIsoに合流し、火の神「Osni the Flare」へと変容する。本作は、前作『Tin Iso and The Dawn』と比べて、より人間的で、子どものような感触を持つサウンドが特徴であり、神々の俯瞰的視点から、Allenの世界における最初の「人間」の物語へと焦点が移されている。新たな愛に支えられた感情が音楽へと昇華され、独自の魔法のような響きを生み出している点も印象的だ。前作同様、ピアノは「帰る場所」を象徴するポータルとして冒頭と終盤に配置され、Osniは生者の世界、狭間の世界、そして彼岸という三つの領域を旅していく。

本作は、ブルックリンの自宅アパート、サイプレス・ヒルズ墓地を望む部屋で、ほぼ全編がAstonのコンデンサー・マイク一本で録音された。トイ・ピアノやフルート、オカリナ、ハルモニウム、ポンプ・オルガン、エレクトリック・ベースとアップライト・ベース、各種ガジェット、そして膨大な数のミュージックボックスやベルを用いて音世界が構築されている。パートナーであるVirginia Garcia Ruizの『パンズ・ラビリンス』を想起させるハミングに着想を得たヴォーカル・メロディは、Allenにとって初めての本格的な声の試みであり、言葉を排した旋律によって、聴き手自身が物語の主人公であり続けられるよう意図されている。バリ島のスリン、中国の土産物店で見つけたフルート、鳥や亀の形をしたオカリナなどは一音ずつ丁寧に録音され、ミュージックボックスもゆっくりと巻き上げて個別にサンプリングされた後、Virginiaのハミングをなぞるように再構成・調律された。スピーカーが壊れかけたCasio SK-1は、ハルモニウムと組み合わされ、独特の和声テクスチャーを生み出している。

1時間に及ぶ即興演奏をBastl ThymeやNanoVerbに通し、長く減衰するディレイを生成し、その中から最良の瞬間が楽曲として抽出された。炎の音は、ピアノの鍵盤を爪で弾くクリック音から生まれ、フィールドレコーディングではピアノの土台を解体する音、ロウソクを消す音、ホスピスで収録された環境音などが使用されている。ドラゴンの声は、Allenが創作した架空言語で語られ、旋律はゴスやガムランに影響を受けた低音域に据えられ、装飾的な音が上へと重ねられていく。こうした細密な手法は、アルバム・アートワークにおける点描にも通じるもので、シャワーの中や眠りに落ちる直前、会話の途中に至るまで、執拗に積み重ねられた小さな断片が、やがて巨大な全体像を形作っていく。

ピアノはエンジニアのKatie Von SchleicherによってFigure 8 Recordingで再録音され、ミックスはPaul Corleyが担当した。テクニカル・ディレクターのJim Freemanは、Bruce Schwartzのバレリーナ人形に着想を得たバスウッド製ロッド・パペットの制作において、首の可動部に4か月、肩の構造に5か月を費やしてAllenと共同制作を行った。Freemanが長年開発してきた自作LED照明システムは舞台上から人形劇を照らし、その作業中に無意識に口ずさんだ口笛は密かに録音され、アルバムの終盤に登場する。人形制作ではMiryam Moutillet、Lauder Weldonが参加し、ハイブリッドな頭部はDuygu Bayar Ekrenが手がけた。2023年の『Tin Iso』以降、Allenはニューヨークの実験的パペット・コミュニティに拠点を見出し、Jim Henson FoundationやLa MaMaからの支援を受けて活動を続けている。

『Osni the Flare』は、Tristan Allenが継続してきた世界構築を、驚くほどの統一感と精度で結実させた作品である。無数の要素がきらめくように結びつき、ひとつのアイデアから派生しながら同一世界を共有するファンタジー・シリーズのように展開される。本作は、ファンタジー映画を観て育った少年時代のAllenが思い描いていた理想、すなわち「人が楽器を演奏している音ではなく、幻想世界そのものが鳴っているような音楽」を現実のものとしている。パペッティアの技法である「真実の嘘を語る」ことを通じて、Allenは聴き手に、より原初的で直接的な体験へと誘う。Osniが人から神へと変容していく過程は、火の起源であると同時に、神話そのものの起源を描き出しているのだ。


TRACK LIST:

01. Osni Opening
02. Act I: Garden
03. Act I: Loon
04. Act II: Dragon
05. Act II: Pyre
06. Act III: Umbra
07. Act III: Rite
08. Act IV: Flood
09. Act IV: Everglow
10. Osni Closing

 

 

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